ベトナム語の人称代名詞(一人称)について

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世界の言語の中でも6つの声調を持つベトナム語は特に難しい「声調言語」の一つであると言われております。本サイトではそのようなベトナム語の文法、日常会話など、ベトナム語に関するお役立ち情報をお届けいたします♪

これからベトナムへ赴任される駐在員の方、その帯同されるご家族の方、大きな志をもってこれからベトナムで就労される方、ベトナム人とベトナム語での交流される方など、ベトナム進出サポーターズの「お役立ちベトナム語集」ぜひ、ご参考にして頂けますと幸いです。

ベトナム語の人称代名詞(一人称)について

ベトナム語が難易度の高い言語だと言われるのは、6つの声調を持つ声調言語であることはさることながら、話す相手の年齢や性別によって、「人称代名詞」が状況に応じて変わる言語であることもその理由の一つです。

「人称代名詞」の定義として、「人称代名詞」は「話して」「受けて」や第三者の人や物を指す代名詞のことを指しますが、この「人称代名詞」がベトナム語では多数存在していることから非常に複雑なのです。

対面して1対1で話す相手は、何歳なのか?自分より年上?年下?、またグループで会話中の相手は、明らかに年上だけどもどれぐらい上なのか?自分の親よりも下の年代?上の年代?などの状況を考えながら、人称代名詞を組み替えて会話していきます。

本ページでは、まず一人称単数の「私」についてご紹介させて頂きます。


・ Tôi (ドイ)※ 男女共通

ベトナム語で一番形式的な「私」。よく旅行用のベトナム語教材に載っているポピュラーなものです。決して間違いではありませんが、ベトナム人は普段の日常生活ではあまり使いません。

人称代名詞があまりにも多くて複雑なため、この一人称が外国人によく使われますが、この一人称を使って話すと、すぐ外国人であると判断されますね。

初対面や親しくない相手と会話する中で、自身から見た相手の年齢などがわからない時は、この Tôi を使ってもいいですが、言われた話相手の方は、少し距離を置かれていると感じるかもしれません。話す相手によっては時に失礼にあたりますが、外国人だからと笑って聞き流してくれるはずです。

また一人が大勢に対して発表を行うなど、聞き手が様々な年齢層が相手のフォーマルな場においては、一人称 Tôi がよく利用されます。 


ここから下がベトナム人の間でよく使われる一人称で、この一人称を使い分けることで、相手との距離がグッと縮まります。

・ Cháu(ジャウ)※ 男女共通

自分が 話し相手の子供程の年齢、またはそれ以下の年齢の時に使う「私」です。

(例: 話し相手が、おじおば、親、祖父母の年代の男女の場合)


・ Em(エム)※ 男女共通

自分が 話し相手の弟や妹程の年齢の場合に使う 「私」です。

(例: 話し相手が、 兄、姉の年代の男女の場合)


・ Anh(アイン)※ 男性のみ使用

自分が 話し相手のお兄さん程の年齢の場合に使う「私」です。

(例: 自分自身が男性であり、話し相手が、 妹や弟の年代の男女の場合)


・ Chị(チ)※ 女性のみ使用

自分が 話し相手のお姉さん程の年齢の場合に使う「私」です。

(例: 自分自身が女性であり、話し相手が、 妹や弟の年代の男女の場合)


・ Chú(チュー)※ 男性のみ使用

自分が 話し相手のおじさん程の年齢の場合に使う「私」です。

(例: 自分自身が男性であり、 話し相手が、甥や姪の年代の男女の場合)


・ Cô (コー)※ 女性のみ使用

自分が 話し相手のおばさん程の年齢の場合に使う「私」です。

(例: 自分自身が女性であり、話し相手が、甥や姪の年代の男女の場合)


Bác(バック)※ 男女共通

自分が 話し相手の父母と同年代、或いはそれ以上だが 相手の祖父母より若い場合に使う「私」です。

(例: 話し相手が、子供の年代の男女の場合)


・ Ông(オン)※ 男性のみ使用

自分が 話し相手の祖父と同年代の場合に使う「私」です。

(例: 話し相手が、孫の年代の男女の場合)


・Bà (バ)※ 女性のみ使用

自分が 話し相手の祖母と同年代の場合に使う「私」です。

(例: 年配の女性が 孫の年代と話す際など)


・Mình(ミン)※ 男女共通

同年か割と年が近い親しい友人達と話す場合に使う「私」です。

相手の年齢が不明の時に使う「 Tôi」と同じような使われ方をしますが、
「 Tôi」よりも親しみを感じる、よそよそしくない一人称です。


Tao(タオ)※ 男女共通

日本語で言うと 「俺」という単語に近い一人称です。

礼節を欠いた言葉ですので、目上などには使えません。

日本では「俺」と使ってもいい場合の年下や夫婦間でも基本的には使いません。
年下や夫婦間で使う一人称は、上述でご紹介した言葉を使うのが一般的です。

どういう時に「Tao」を使うのかと言いますと、
相手が基本は同じ年で尚且つ非常に仲の良い親友と話す時などに使用します。


・そのほかの一人称(親子間など)

– 子供=Con
– お父さん=Bố (北部方言です)
– お母さん=Mẹ (北部方言です)

これらは名詞ではありますが、親子間では一人称として使われています。


一人称単数「私」の実用例 5選

Xin Chào(シンチャオ)は、一番ポピュラーなベトナム語の挨拶ですね。

「こんにちは」や「さよなら」などとして用られる挨拶ですが、ベトナム人は日常会話であまり使用せずに、この Chào という単語の前後に人称代名詞(一人称と二人称)を加えます。

以下の実用例はすべて、(私は あなたに )こんにちは!と言う意味だとします。


実用例①

自身が 兄の年代へ挨拶する場合
/お兄さんこんにちは!

Em Chào Anh (エム ジャオ アイン)

Em=私 Anh=あなた


実用例②

自身が 弟妹の年代へ挨拶する場合
※ 今度は私が相手にとって兄の年代ですから
逆に自分を Anh と呼びます。
/弟(妹)よ、こんにちは。

Anh chào em (アイン ジャオ エム)


実用例③

自身が 祖母の年代の女性へ挨拶する場合
/おばあさん、こんにちは。

Cháu chào bà (ジャウ ジャオ バ)


実用例④

自身(男性)が 甥姪の年代の子供へ挨拶する場合
/甥(姪よ)、こんにちは。

Chú chào cháu (チュー ジャオ ジャウ)

もし自身が女性の場合は、

/甥(姪)よ、こんにちは。
Cô chào cháu(コー ジャオ ジャウ) と言います。


実用例⑤

子供がお父さんと話す場合
/お父さん、こんにちは。

Con chào bố (コン ジャオ ボー)


以上、人称代名詞 一人称単数「私」の使い方の実用例でした。いかがでしたでしょうか?ベトナム語の人称代名詞ってほんとに複雑ですね。

上述の実用例では 二人称単数「あなた」が出てきましたが、次回の投稿では、ベトナム語の人称代名詞: 二人称単数「あなた」について、ご紹介したいと思います。