ベトナム工業団地選定の重要ポイント15選

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ベトナム全土の工業団地は多種多様な300箇所以上

ベトナム全国には、300箇所強の工業団地/輸出加工区がありますが、ベトナム北部・中部・南部の地域性の違いによる特徴はもちろん、工業団地の長所・短所など、工業団地個々それぞれに特徴があります。日本企業が多く進出している工業団地もあれば、ベトナム企業だけが進出している工業団地もあります。

初めてベトナムへ進出される企業様は、数多くある工業団地の中で、どの進出地域が自社の事業に合っているか?どの工業団地を進出先として選ぶべきか、時間を掛けて検討されていることと思われます。

レンタル工場であれば、数年で他の地域へ移ることも可能ですが、土地使用権を購入して自前の工場を建設する場合はそうは行きませんので、失敗や後悔のないように多面的な視点からじっくりと検討を行う必要があります。

本ページでは、ベトナムの工業団地選定における重要な15個のポイントをご解説いたします。ベトナムで工業団地をお探しの企業様のご参考になれば幸いです。

ベトナム工業団地選定の重要ポイント15選

1.  法人税率/税優遇の有無
2.  土地使用権/レンタル工場の価格
3.  土地使用権の購入費以外に掛かる初期費用の有無
4.  年間管理費の価格
5.  土地リース期限
6.  進出先から都市部(ハノイ/ホーチミン)までのアクセス
7.  進出先から国際空港・港湾までのアクセス
8.  日本人駐在員の住環境
9.  労働力が集まりやすいかどうか(労働人口や大手企業の有無)
10.  資材調達先の有無
11.  最低賃金レベル
12.  日系企業連絡会の有無
13.  行政機関の日系企業サポートデスク&工業団地における日本人窓口担当者の有無
14.  行政機関(投資計画局/人民委員会)の外資誘致姿勢
15.  地盤の硬さ


1. 法人税率/税優遇の有無

ベトナム進出を決定する最も大きな事由・メリットといっても過言ではないのが、この 法人税率/税優遇の有無 です。

進出直後の数年間、現地法人が赤字経営の時はあまり恩恵はありませんが、現地事業が黒字化され、安定的な売上がありキャッシュが残ってきるような経営状況になれば大きく関わってくる優遇となります。

業種や進出地域によって違うものの、一般的な法人税率は20% とお考え頂いて大丈夫です。ここで何の税優遇もない地域へ進出していると、そのまま20%が課税されますが、(優遇のある地域へ進出している場合は)法人税自体が15%や17%という 低税率の優遇、さらには「2免4減、4免9減」の 免税・減税の優遇 を受けることができます。 

*例えば、2免4減は、黒字化した年度から2年間免税、その後、4年間減税(標準税率が20%なら、4年間は10%になる)という意味です。尚、免税・減税の優遇ですが、黒字決算開始年度から適用、或いは3期連続で欠損金が続いた場合はその翌年から必然的に「2免4減」の優遇が開始されます。

現在、多くの日本企業が進出している有名な工業団地でも、(今進出されると)この 優遇税制が全く無い=優遇を受けれない工業団地 もあるので、注意が必要です。

現地法人の利益を法人税として納めるのか、それとも数年間、免税減税の優遇を受けて利益をそのまま会社に残せるのか、この違いは、ベトナム進出のために出資した金額の回収期間(=親会社への利益還元)、また現地法人を拡張するための次のSTEPにも大きく影響がありますので、工業団地選定の大切なポイントとして見て頂ければと思います。

2. 土地使用権/レンタル工場の価格

次に大事なのは、土地使用権やレンタル工場の価格です。

土地使用権を購入(土地リース)して自前の工場を建てる場合、数千、数万平米という土地面積に対して、平米あたりの単価(80-150USD等)を掛けた金額=土地使用権の購入費が掛かります。

レンタル工場へ入居してベトナムへ進出する場合でも、借りる工場面積に対して、平米あたりの賃料(4.5-8USD等)を掛けてレンタル費用を算出します。

いずれにしても進出資金(投資資金)の大半を占めるのがこれらのコストになりますので、なるべく平米単価の安い工業団地や工場を探すなどしながら、費用は抑えて進出して頂きたいものです。

工業団地やレンタル工場が提供する価格が妥当なものかどうか、現在の価格状況だけを見るのではなく、その地域の将来的なインフラ計画や経済発展の可能性 など、多面的な視点から検討することが大切 なので、そのようなポイントにも重きを置きながらご検討頂ければと思います。

3. 土地使用権の購入費以外に掛かる初期費用の有無

次に、上述の土地使用権の購入費以外にも、投資の初期費用に関わってくる必要があります。

リース契約締結前の地盤は、その地域行政が定める地盤の高さ(標高)より低い地盤でリース契約を行う工業団地もあり、実際に土地を企業様に引き渡す際には、進出企業様自身で費用を負担して、「盛り土」が必要な工業団地 もあります。

「盛り土費用」は、例えば、2.7mがその地域の基準、リース契約締結前は2.4mだとすると、0.3m盛り土しないといけません。この場合、土地の面積にもよりますが、盛り土費用だけで、数百万円掛かることになります。

このような初期費用が掛かる場合、その額も決して少なくありませんので、事前に十分に確認いただきますようお願いいたします。

*土地使用権を購入せずにレンタル工場へ入居される企業様に於かれましても、保証金や内装改修費など、保証金は、レンタル工場の運営会社にもよりますが、数ヶ月分の保証金、或いは10,00USD-15,000USDの保証金など、初回にまとまった資金が必要になります。

4. 年間管理費の価格

工業団地の土地使用権を購入する場合、またはレンタル工場へ入居する場合においても、(土地使用権料や賃料以外に)管理費が掛かります。
(*レンタル工場によっては、賃料に管理費が含まれていることもあります)

この管理費は、工場団地のインフラ整備費、団地の正面入り口の警備委託費、工業団地の共用道路の清掃費用、またレンタル工場の維持管理などに使用されるものです。

年間支払いが一般的ですが、この管理費についても最初から現地法人の固定費として重く伸し掛ってきます。工場面積が大ければ大きいほど負担すべき管理費も上がりますので、決して軽視できないコストの一つです。

5. 土地リース期限

ベトナムの工業団地は、50年間というリース期限が定められています。

中には、もう少し期限が伸ばされた特別工業団地もありますが、基本は5 0年間です。 

しかも、企業様が進出されてから時期から50年間ではなく、工業団地がライセンスを取得した時期から50年間ですので、例えば、工業団地が設立されて15年経過している団地でしたら、残り35年間となります。 

この項目も企業様の長期的な事業計画にも関わってくる内容ですので、十分にご検討頂ければと思います。

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6. 進出先から都市部(ハノイ/ホーチミン)までのアクセス

次の検討ポイントとしては、進出先地域の都市部からどれだけの距離に位置 しているか。

日本人駐在員を派遣する際に、駐在員が何処に住まれるかにも寄りますが、ハノイやホーチミンには、日本人レストランや日本の食材などが買えるスーパーも多く、日本人コミュニティも集約しています。

もし都市部に住まわれる場合、あまりにも進出先の工業団地から離れていると長期的な通勤にも影響が出てきますので、こういった方面からの検討も大切です。

7. 進出先から国際空港・港湾までのアクセス

次に、進出先の工業団地から 最寄りも国際空港、港湾までの距離 も大切なポイントの一つです。 

企業様が製造された製品を主にベトナム国外へ輸出される場合、頻繁に海上便や航空便を利用する際に、あまりにも港湾から離れていると物流コスト高の懸念があります。

毎週幾度かコンテナ出荷するのに毎回数百km輸送するというのは、できれば避けたい苦労と手間ですし、もし港湾までの道のりの中に、渋滞が頻繁に発生するようなルートがあれば、貨物遅れの原因や余分な費用が掛かる要因になってしまいます。

実際に船便利用のための港湾までの輸送の道中、渋滞に巻き込まれ予定していた船便のカットタイムに間に合わなかったという企業様もいらっしゃいます。

8. 日本人駐在員の住環境

現地に派遣される駐在員の方によっては、都市部に住まずに進出先(工業団地)近くに住まわれる方も多くいらっしゃいますが、やはり都市部に住んだ方が住みやすい環境が整っていることは確かですし、もし家族帯同なども考えると、都市部に住むのが環境的にはベストと言えます。

ただ駐在員が単身者であったり、長い通勤時間を避けたいという駐在んであれば、進出先(工業団地)の近くで住むことを希望することもあるかと思いますが、その際の住環境はどこでも良いと言うわけではありません。 

治安の良い地域であるか、アパートメントには生活設備が一式揃っているのか、警備員が常駐している、都市部への交通手段は安全且つ充実しているかなど。
進出先の工業団地付近に、日本人駐在員が住みやすい環境があるかどうかは、安心して現地へ赴任してもらえるためにもご検討頂くべきポイントです。

9. 労働力が集まりやすいかどうか(労働人口や大手企業の有無)

数十人程度の従業員採用であれば、大きな影響は受けませんが、労働集約型産業など数百人-数千人規模での事業をお考えの場合は、労働力が集まりやすいかどうかを考慮することも大切です。

その進出地域自体に労働人口が少なく求める人材(人数)を採用できなかったり、実際にある事例ですが、数千人規模で採用活動を行う日系や外資系の大手メーカー同士で 従業員を取り合いになっている地域(採用合戦を繰り広げている地域)もあります。

せっかく長く働いて技術やノウハウを覚えてくれた人材が大手メーカーの採用条件を更新した瞬間に、そこに魅力を感じて転職してしまうということも少なくありません。

10. 資材調達先の有無

過疎地域にある工業団地は、外資企業を誘致するために地域行政が積極的に動いて、魅力的な優遇税制を設定していることが多いですが、現地の生産活動に必要な材料・資材を現地調達できないような地域 では、非効率ではあります。

土地も安く魅力的な税優遇があっても、ハノイやホーチミンの都市部から資材を調達するのは、=物流費が掛かることで調達コストも上がりますし、緊急で何か調達しないといけなくなるような場面においても、必ずネックになる懸念点と言えます。

生産工程の一部を外部の協力会社(生産委託先)へ委託する場合 も然り、進出先の周囲に生産協力会社が無ければ、半製品を往復で長距離間走らせてしまうことにもなりかねません。

そういった意味でもこの項目は、「ベトナム工業団地の選定ポイント15選」の中でも上位で考えるべき、とても大切な検討ポイントであると言えます。

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11. 最低賃金レベル

次の進出先地域の最低賃金レベル、これは当社にもお客様からご質問頂けます。

ベトナムは 全国を4つの地域レベル に分け、それぞれに最低賃金を設定しています。
* 最低賃金に関しましては、こちらのページ で詳しく解説しておりますので、合わせてご覧頂ければと思います。

最も最低賃金高い地域(賃金レベル1)は、決して都市部だけではありません。ハノイやホーチミンから数十km離れた工業団地だっても、すでに大都市同様の賃金レベルであることが多いです。

また今は賃金レベル2 / 賃金レベル3の地域であっても、近い将来、ランクアップする可能性のある地域もありますので、綿密なリサーチが必要です。

12. 日系企業連絡会の有無

現地に進出する日本企業各社、日本では全く付き合いのない会社同士であっても、現地の同じ工業団地に進出すると、お隣さんやご近所さんとなります。

そういった企業同士の付き合いも本当に情報交換の場となったり、事業活動の良いヒントとなることもあります。

通常そのような場というのは、現地の日本商工会議所へ加入することで、各地域部会のネットワークの中で親交を深めていくことができますが、それ以外に、工業団地の管理会社(ディベリッパー)や(同じ工業団地の)日本企業が主体となって集まる日系企業コミュニティがあります。(本項目では日系企業連絡会と呼んでいます)

前者は、工業団地の管理会社(ディベリッパー)よっては、不定期に開催している工業団地もあれば、開催していない工業団地もあります。

後者は、日本の大手メーカーが進出している北部地域でよく見られますが、大手メーカーなどが主体となっているコミュニティです。その工業団地や省に進出している周辺の日本企業を大手メーカーが声掛けして(または幹事交代制にて)日本企業一同を一斉に集め、数ヶ月に一回、情報交換会や交流会 を行なっています。

このような日系企業連絡会では、各社の現状賃金や今後の賃上げ計画、採用計画、新法令の解説やストライキ情報や経営トラブルなど、現地法人運営のための情報や日々困っている情報を共有しながら、時にその地域の行政機関へ(共同署名にて)問題改善を懇願するなど、進出企業各社にとっても大きな役割を果たしているのです。

文化や習慣も違う異国の地で事業を展開するにあたって、こういう場があるのは非常に有難いことですので、こちらも工業団地選定のポイントの一つではないでしょうか。

13. 行政機関の日系企業サポートデスク&工業団地における日本人窓口担当者の有無

次に、どの企業様も重視している項目かとは思いますが、進出先の地域行政によっては、日本企業を積極的に誘致するためのサポートデスクを設定している自治体もあり、そこには 日本語スピーカーのベトナム人担当者 が在籍していることもあります。 

また自治体ではなく、進出先の工業団地(ディベリッパー)においても、ベトナム在住歴の長い日本人担当者 が常駐している工業団地もありますので、 

進出先の行政や工業団地に、日本語で相談ができるサポート体制があるかどうかも、工業団地選定における重要なポイントです。

14. 行政機関(投資計画局/人民委員会)の外資誘致姿勢

進出先の地域によっては、特に積極的に日本企業の誘致を行っている自治体もあります。

人民委員会の委員長自らが日本の東京や大阪へ出張でお越しになり、その地域や工業団地をアピールする誘致活動=セミナーを開催されたり、進出を果たした日系企業と現地で頻繁に情報交換の場を設けたり、また、行政に対するトラブル相談窓口を設けていたりなど。

このような誘致に積極的な地域では、常に外資企業をサポートする体制を構築しているので、それは非常に有難いことであり、現地事業活動もし易くなるのは間違いありません。

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15. 地盤の硬さ

最後の選定ポイントですが、地盤の硬さも大切なポイントであると言えます。

さほど大きな機械設備を置かない企業様はあまり影響は受けませんが、非常に重量が重い設備を設置する企業様においては、その工業団地の地盤の硬さも気にされます。

ここでは、特定の工業団地名は申し上げませんが、工業団地によっては、その地域自体が地盤が固くない地域も存在しているのは確かです。

ある程度は、工場建設時の 杭打ちほか各工法で地盤の硬さを上げることも可能 ですが、元々の地盤の硬さ、これも事前に確認しておいた方が良い大切なポイントです。


以上、「ベトナムの工業団地選定の重要ポイント15選」について、ご解説させていただきました。こちらのページでは、「ベトナムも土地使用権 相場価格」についてもご紹介しております。合わせてご覧頂けますと幸いです。

当社は、ベトナム北部・南部地域にて、進出先工業団地のご紹介 / 現地法人&駐在員事務所設立の支援実績 が多数ございます。

また当社は、これから注目される地域にある 新興工業団地の日本側営業代理店 も務めておりますので、お客様のご要望にあった多種多様なご提案が可能です。

ベトナム進出のための工業団地をお探しでしたら、ぜひお気軽に当社へご相談くださいませ。



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