ベトナム現地法人の清算申請(会社解散)について

new photo 20190621

- ベトナム現地法人の清算申請(会社解散)について-
清算手順、申請書類、申請先、留意点など

前回の投稿では、「ベトナム法人の休眠申請」についてご案内させて頂きました。今回は、ベトナム現地法人の清算申請(会社解散)について解説致します。

進出企業各社が様々な思惑や目標を持って現地へ進出したものの、文化や風習、法律や国民性も違う海外で事業を成功させることは簡単なことではありません。現地事業の黒字経営化、会社再編も功を奏さず、徹底を余儀なくされる企業様も少なからず存在しています。

ただ現地法人の清算をご決定されたからには、解散手続きがスムーズに展開できますよう、本ページの情報(法人清算手順、申請書類、申請先)が少しでもご参考になれば幸いです。

ベトナム現地法人の清算申請におけるポイント

◎申請先:

市・省にある投資計画局 企業登録部
(または工業団地管理委員会)

◎法人清算完了までの手順:

STEP 1.  会社清算の決議

会社の決定機関にて、会社清算することに対して決議し、清算申請で必要になる「法人清算決定通知書」や「総会議事録」を作成します。
決定機関ですが、有限会社であれば=会長(委任代表者)または社員総会、株式会社であれば=株主総会、取締役会がこれに当たります。

STEP2.  各関連行政への通知

STEP1の清算決議日から7営業日以内に、関連行政機関や従業員に対して、公文書と共に決定通知書を提出します。法令上、通知が義務付けられているのは、計画投資局 企業登録部および税務局ですが、他の行政へも合わせて通知することで、後々の清算業務がスムーズに進めることができます。

関連行政機関 :  計画投資局、工業団地管理委員会、税務署、税関、労働局、環境局、環境公安、保険機関など。

会社清算に伴う従業員への解雇通知は、法令上、有期雇用契約者であれば解雇の30日前、無期雇用契約者であれば解雇の45日前の定めがありますので、それ以前に解雇することはできません。
(この日数内で離職してもらう場合においても、その間の給与などは発生します)

STEP3.  企業登録ポータルサイトへの掲載

企業登録ポータルサイトにて、「法人清算決定通知書」を掲載します。この時点で債務の返済が残っている場合、これから進める返済の計画書も合わせて掲示します。STEP2実施時に、計画投資局や工業団地管理委員会から清算手順について指導してもらえる場合もありますので、その指示に従って実施して下さい。

関連行政機関 :  計画投資局(企業登録部)

STEP4.  会社資産の処分

会社が保有する資産を会社の決定機関の決議を持って公平に処分します。ここで処分して得た資産などは、次のSTEPの債務返済などに当てられ、最終的な残金は投資家(オーナー)に帰属する場合もありますので、漏れなく確実に処分していきます。

STEP5.  債務の弁済(社員の給与)

従業員への未払い給与、退職金、そのほか労働契約や労働協約にて得られる福利厚生、利益、権利などを弁済します。このSTEPが完了していないと法人の解散は認められません。

STEP6.  債務の弁済(社会保険)

従業員の社会保険で未払い金額を完納し、社会保険事務所より「社会保険納付義務完了の確認書」を取得し、その後、従業員の「社会保険登録証」を返却します。ここで一旦は登録証を返却する形になりますが、従業員の方が別の会社に勤めれらた後にその会社で引き継ぎ再登録の手続きをとります。

関連行政機関 :  社会保険事務所

STEP7.  債務の弁済(税金関係)

この時点でまだ未納付の税金や滞納税がある場合、全て完納します。法人税、所得税、ライセンス税、環境税、行政への罰則金などがこれに当たり、担当の行政機関は、原則「税務当局」となります。納付に伴い、関連する資料(決算報告書、会計監査報告書、関連の免税申請書や還付申請書など)の提出も求められる場合がありますので、よく所轄の税務当局の指示に従いながら処理してください。

また会社清算に伴い、ベトナム特有の公式インボイスの抹消も行う必要がありますが、申請先は所轄の「税務当局」になりますので、本STEPの中で合わせてインボイスの抹消申請を進めて頂ければと思います。

また「輸出関税・輸入関税、ほか税関に関わる罰則金」については「税務当局」は管轄外ですので、「輸入港のある地域」または「会社所在地域の所轄税関」へ相談しながら、納付処理・資料の提出を行いましょう。

関連行政機関 :  税務局、税関

STEP8.  債務の弁済(そのほかの債務)

そのほか取引先に対する買掛金や借入先機関への債務弁済が残されている場合、各関連先との契約内容に沿って返済処理を進めていきます。このSTEPで、従業員、地域行政(未納付税)、外務機関への債務返済は一旦完了となりますが、法人清算の本申請時に、債務弁済実施に関する記録「債務弁済記録書」の提出が必要になりますので、合わせて準備頂ければと思います。

STEP9. 外国人労働者関連の手続き

所轄の「労働局」に対して、日本人駐在員や現地採用人材に対して発行された「労働許可証*ワークパーミット」の返却手続きを取ります。返却申請書と共に、労働許可証の原本を提出します。

関連行政機関 :  労働局

また労働許可証の返却に伴い、「一時滞在許可証*レジデンスカード 」の返却も必要になり、返却先は、「出入国管理局または外務省の関連機関」となります。レジデンスカード 返却時に、パスポートに返却後の「滞在可能日数」が記載されます。その期限までに当該外国人労働者は出国が必要になるため、返却後の行うべき業務や帰国準備などを出入国管理局へ相談の上、日数を決定してもらいます。

関連行政機関 :  入国管理局または外務省の関連機関

STEP10. 社印の返却

所轄の「公安局」に対して、社印の返却を行いますが「社印返却申請書」および「印鑑証明書の原本」を合わせて行政窓口へ提出します。提出後「印鑑返却受領証明書」を受領して下さい。

関連行政機関 :  公安局

STEP11. 清算申請

会社清算を行うための本申請です。
原則、計画投資局 企業登録部/投資部(または工業団地管理局) に対して行います。

◎必要書類:

1. 清算申請書
2. 債務弁済記録書(STEP8)
3. 印鑑返却受領証明書(STEP10)
4. 法人清算決定書(STEP1)
5. 法人清算を決議した総会の議事録など(STEP1)
6. IRC(投資登録証明書)の原本→返却
7. ERC(企業登録証明書)の原本→返却

この申請を経て、正式に法人解散が認められることになります。現地企業としての情報が完全に抹消され、ベトナムからの撤退となります。

 

new photo 20190624


◎法人清算申請における留意点

・ 法令上、清算決議から6ヶ月以内に解散完了しなければなりません。
(実際には完全に清算できるまで1年近くまたはそれ以上かかる事例もございますので、計画性を持って清算申請をお進めください)

・ 清算決議後、税務当局による税務調査が実施される場合があります。前回の税務調査年度から精算申請時までの税務会計処理・資料を精査され、追徴課税などの処分を受けた場合は、会社清算前に納付する必要があります。


・ 会社の清算に関しては、法人登記時に提出する「会社定款」の条項で記載されています。決議成立要件(会長決議、取締役会や株主総会の多数決)、清算に至る手順、弁済する債務の優先順位など、定款で特記している場合は、原則その定款に沿って実施していきますので、まずは定款上の定めをご確認お願いします。

・従業員に支払う「退職金」ですが、以下のような義務のもと計算しなければなりません。

     【有期雇用契約終了時や雇用契約の解除の場合】
- 勤続12か月以上の従業員に対して、勤務1年につき、0.5か月分の給与相当額を支給

     【組織再編や休眠・撤退などを理由とした雇用者側の都合によって従業員を解雇する場合】
- 勤続12か月以上の従業員に対して、勤続年数1年につき、1か月分以上を支給
(最低退職金額は2カ月分)

*勤続6-12ヶ月の従業員も、12ヶ月以上勤務したと定義されます。


【関連法令】


- 企業法 : 法律 68/2014/QH-13(第201 - 205条)
- 企業登録に関する法令 : 政令78/2015/ND-CP(第59条)
- 労働法の補足政令 : 政令05/2015/ND-CP(第14条)


以上、ベトナム現地法人の清算申請(法人解散)における申請先、申請手順、申請必要書類、留意点についてご解説させて頂きました。

また法人清算をご決断される前に、まずは休眠申請を行い事業の再編を行う企業様もいらっしゃいます。こちらのページでは、「ベトナム現地法人の休眠申請(事業一時停止申請)について」  詳しくご説明しております。本ページと合わせてご覧頂けますと幸いです。

本ページの内容や弊社サービスについて、ご質問などございましたら、いつでもお問い合わせ下さいませ。



new photo 20190621

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 * が付いている欄は必須項目です