【国際】Apostille条約実施計画の概要(首相決定330/QĐ-TTg号)

Hue Imperial City

ベトナムがApostille条約の実施計画を承認

外国公文書の認証手続きが簡素化へ

法律の概要

  • 法律名:Quyết định 330/QĐ-TTg
  • 公布日:2026年2月25日
  • 発行機関:ベトナム首相
  • 内容:ハーグ条約(1961年)「外国公文書の認証免除条約(Apostille条約)」の実施計画を承認
  • 目的:外国公文書をベトナムで使用する際の認証手続きを簡素化すること
  • 主な担当機関:ベトナム外務省
  • 適用開始予定:2026年9月11日(条約発効予定)
  • 今後の予定:電子Apostille(e-Apostille)導入の検討、行政手続きの整備

ベトナム政府は2026年2月25日、「Quyết định 330/QĐ-TTg」を公布し、外国公文書の認証手続きを簡素化するApostille条約の実施計画を正式に承認しました。

これにより、外国で発行された公文書をベトナムで使用する際の手続きが今後簡素化される可能性があり、国際ビジネス環境の改善につながることが期待されています。

Apostille条約とは

Apostille条約は、1961年にオランダのハーグで採択された国際条約で、外国公文書の認証手続きを簡略化することを目的としています。

通常、外国で発行された公文書を別の国で使用する場合、複数の認証手続きが必要になります。

従来の認証手続き(例)

日本の書類をベトナムで使用する場合

  1. 日本の公的機関による証明
  2. 日本の外務省による認証
  3. ベトナム大使館による領事認証
  4. ベトナム国内での使用

このように、複数の機関を経由する必要があり、手続きには時間と費用がかかることが一般的でした。

しかし、Apostille条約に加盟している国同士では次のようになります。

Apostille制度の場合

  1. Apostille証明を取得
  2. 加盟国でそのまま使用可能

つまり、1回の証明だけで書類が国際的に有効となる仕組みです。

ベトナムが条約を導入する背景

近年、ベトナムは外国投資を積極的に受け入れており、国際ビジネス環境の整備を進めています。

外国企業の進出や国際取引が増加する中で、外国書類の認証手続きが複雑であることが課題として指摘されていました。

今回の実施計画には、次のような目的があります。

  • 国際行政手続きの簡素化
  • 外国投資環境の改善
  • 国際協力の強化
  • 行政手続きの効率化

Apostille制度の導入により、ベトナムの国際ビジネス環境はさらに整備されることが期待されています。

実施計画の主な内容

今回の首相決定では、条約を円滑に運用するための具体的な取り組みが示されています。

① Apostille制度の周知

政府機関や企業、地方自治体などを対象に、条約の内容や制度の利用方法を周知する活動を行います。

② 発行体制の整備

Apostille証明書を発行するため、外務省を中心とした行政機関の体制整備が進められます。

主な担当機関

  • ベトナム外務省
  • 関連行政機関

具体的な発行手続きや対象文書の範囲については、今後関係省庁による詳細規定が整備される予定です。

③ 法制度の整備

条約の実施に合わせて、関連する国内法制度の見直しや調整が進められる予定です。

④ 電子Apostilleの導入検討

行政手続きのデジタル化を進めるため、将来的には

電子Apostille(e-Apostille)

の導入も検討されています。

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Apostilleの対象となる主な公文書

Apostille証明は、一般的に次のような公文書(Public Documents)に付与されます。

行政文書

  • 出生証明書
  • 婚姻証明書
  • 住民証明書
  • 犯罪経歴証明書

司法文書

  • 裁判所の判決
  • 裁判関連書類

公証文書

  • 公証された委任状
  • 公証契約書

公的証明が付された文書

  • 公証人の証明
  • 行政機関の証明書

ただし、ベトナム国内でどの文書が具体的にApostilleの対象となるかについては、今後の実施規則により詳細が定められる見込みです。

外国のApostille文書の受入れ

Apostille制度の導入は、ベトナムがApostille証明書を発行するだけでなく、外国で発行されたApostille付き公文書をベトナムが受け入れる制度でもあります。

これにより、日本などのApostille加盟国で発行された書類については、従来必要だった

  • 外務省認証
  • ベトナム大使館での領事認証

などの手続きを省略できる可能性があります。

その結果、外国企業がベトナムで行政手続きを行う際の書類準備が簡素化されることが期待されています。

日本企業への主な影響

Apostille制度の導入は、日本企業にとっても実務上のメリットが期待されます。

ベトナムで事業を行う際には、日本で発行されたさまざまな書類を提出する必要があります。

よく使われる公文書

  • 日本企業の登記簿謄本
  • 委任状
  • 契約関連書類
  • 駐在員関連書類
  • 各種証明書

これまでは複数の認証手続きを経る必要がありましたが、Apostille制度が導入されることで手続きが簡素化される可能性があります。

企業側のメリット

  • 書類手続きの簡素化
  • 手続き期間の短縮
  • 認証コストの削減
  • 国際ビジネスの効率化

特に、ベトナム進出や法人設立を検討している企業にとっては、実務上の負担軽減につながる可能性があります。

まとめ

今回公布された「Quyết định 330/QĐ-TTg」は、ベトナムがApostille条約を実施するための具体的な準備計画を示した重要な政策決定です。外国公文書の認証手続きはこれまで複雑で時間がかかることが多く、国際ビジネスの実務においても負担となる場面がありました。しかしApostille制度が導入されれば、1つの証明書で公文書の有効性が認められる仕組みとなり、手続きの簡素化が期待されます。ベトナム政府は制度の周知や行政体制の整備を進めるとともに、電子Apostilleの導入も視野に入れており、今後は制度運用の詳細が段階的に整備されていく見込みです。ベトナムで事業展開を検討している企業にとっては、こうした制度改革の動向を把握し、今後の行政手続きの変化に備えることが重要になるでしょう。

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