ベトナム進出 FAQ
智美高畑
ベトナム進出FAQ(法務・税務・会計について)
ベトナム進出FAQ – よくあるご質問 –
〈ベトナムに進出する企業様がお持ちの疑問点をこのページでご紹介いたします〉
ベトナムで事業を行う上で、税務に関する基礎知識は欠かせません。法人税(CIT)や個人所得税(PIT)、VAT、移転価格、外貨管理などは、日系企業から特によくご相談をいただくテーマです。
税制は変更も多く、申告方法や必要書類、税率の違いなど、実務の中で疑問が生じやすい分野でもあります。
本項では、当社によくお問い合わせ頂く「法務・税務・会計」に関するご質問を、以下にて御紹介いたします。
標準税率は 20% です。業種・投資対象地域によっては、10%・17%などの優遇税率が認められるケースがあります。優遇適用には、投資登録証明書(IRC)や投資プロジェクト内容の確認が必要となるため、進出段階での設計が非常に重要です。
原則として可能ですが、契約内容の明確化および業務実態の立証が必須となります。税務調査では「サービスの実在性」と「本社側における経費配賦の合理性」が重点的に確認されます。そのため、日本本社との契約書・請求書に加え、メール記録や成果物など、実際に役務提供が行われたことを示す証憑の保存が重要です。
ベトナムの個人所得税(PIT)はどのように計算されますか?
給与所得は 累進税率 5〜35% に基づき計算されます。居住者は全世界所得、非居住者はベトナム源泉所得のみが対象となります。外国人の居住判定は「183日ルール」が基本で、滞在日数により課税方式が変わるため、赴任開始時の管理が重要です。
社宅費は課税対象ですが 家賃の15%が上限 と定められています。学校費用については、駐在員本人ではなく扶養家族の教育のためであれば、一定条件下で非課税扱いとなる場合があります。契約名義や支払い方法に注意が必要です。
VAT(付加価値税)の還付はどんな場合に受けられますか?
主に以下のケースで還付が可能です:
• 輸出企業:仕入 VAT が継続的に累積した場合
• 投資プロジェクト:建設・設備投資段階で大きな仕入 VAT が発生する場合
還付を受けるには、請求書・契約書・支払い証憑の整合性が必須で、電子インボイス管理も重要です。
通常は 30〜45日程度 が一般的です。ただし、税務当局が詳細調査を行う場合は 2〜3ヶ月以上かかるケースもあります。税務リスクが低い企業はスムーズに進む傾向があります。
法人税、VAT、PIT の基本税率に加え、外国契約者税(FCT) の税率を誤認しやすいため要注意です。サービス提供・ロイヤリティ・機材賃貸など、取引内容によって FCT の計算式が異なるため、契約段階での確認が不可欠です。
FCT(外国契約者税)の適用判断はどのように行いますか?
支払い内容が「サービス提供」「ソフトウェア使用料」「機械賃貸」など、ベトナムで課税対象となる場合に FCT が発生します。VAT と CIT の合算で構成されるため、支払い性質の分類が最も重要なポイントです。
海外関連者と取引がある企業は、原則として作成義務があります。売上・資産規模・関連者取引額の大きさにより、簡易報告・ローカルファイル・マスターファイル・国別報告(CbC)の要否が決まります。判定は毎年度必要です。
決算予測段階から 利益率を定期モニタリング し、比較可能企業との乖離を早期に把握することが重要です。また、契約書・業務報告書・成果物の証拠管理を徹底し、税務当局に対して説明可能な状態を維持することがリスク軽減につながります。
会計アウトソーシングにはどんな業務を依頼できますか?
記帳代行、VAT・PIT の申告、給与計算、決算資料作成、年次監査対応、会計基準のアドバイスなどが含まれます。内部人材の不足や税務制度改定への対応を外注化することで、実務負担を軽減できます。詳しい内容につきましては、弊社にお気軽にお問い合わせください。
税法の変更が多いベトナムでは、専門家によるチェックが大きな安心材料になります。申告ミス削減、証憑管理の精度向上、日本語でのコミュニケーション、税務調査時のサポートなど、企業のリスク低減に直結します。
ベトナムで税務調査はどのくらいの頻度で入りますか?
企業規模や業種により異なりますが、一般的には 3〜5年に1回 が目安です。VAT 還付申請を行う企業や外国関連取引が多い企業は、調査頻度が高くなる傾向があります。
特に多いのは以下の項目です
• 本社サービス料の実態証明不足
• 法人税(CIT)の損金算入
• 個人所得税(PIT)と人事労務関係
• 出張費・広告費・福利厚生費の根拠不足
• 外国契約者税(FCT)
• 移転価格文書の整合性
インボイスや契約書の形式不備
資料整備を日常的に行うことで、多くのリスクを回避できます。
資本金送金、海外への支払い、貸付金の返済などは銀行手続きと税務が密接に連動しています。不適切な手続きを行うと送金が拒否されたり、後に税務調査で問題となったりすることがあります。
「外貨建ての社内貸付」が日本本社からベトナム現地法人への融資を指しているのであれば、外国ローンとして手続きを行うことで可能ですが、1年超の借入(中長期): ベトナム中央銀行(SBV)への事前登録が義務付けられています。登録なしで実行すると、罰則の対象となります。1年以内の借入(短期): SBVへの事前登録は不要ですが、定期報告は必要です。もしベトナム現地法人間の外貨建て貸付を指しているのであれば、原則としてできません。この場合は、ベトナムドン建てでの貸付を検討する必要があります。
申告遅延、納税遅れ、インボイス記載ミス、契約書不足、移転価格文書の未提出など、多岐にわたります。罰金だけでなく 20%前後の加算税 や 遅延利息 が課されるため、日々の会計管理が重要です。
可能です。過払い VAT・PIT・CIT などは税務当局へ申請することで返金されます。ただし、証憑・計算根拠の提出が必要で、還付まで数ヶ月かかることもあります。
外資企業、一定規模以上のローカル企業、また投資プロジェクトを運営する企業などは、年次監査の実施が義務 となっています。監査報告書は銀行・税務署・社内管理でも重要な役割を持ちます。
会計帳簿、インボイス、契約書、固定資産台帳、在庫データ、銀行残高証明、移転価格文書などが必要です。監査人との事前打ち合わせで一覧を確認しておくと、作業がスムーズになります。
ベトナム進出に関するご相談、当社へのお仕事のご依頼など御座いましたら、以下のお問い合わせフォームよりご連絡頂くか、メールやお電話にて どうぞお気軽にご相談ください。