ベトナム税務法令・手続の最新動向政令126 → 政令373 → 決定216 を解説
(2026年2月14日施行・日系企業実務対応ガイド)
2026年に入り、ベトナムの税務制度は運用面で大きな整理が進んでいます。2020年に公布された政令126/2020/NĐ-CPは当時、ベトナム税務管理法の詳細を規定する重要法令として機能してきました。これに対して、2025年12月31日付で政令373/2025/NĐ-CPが改正政令として公布され、2026年2月14日より施行されます。さらに、税務行政手続の運用上の具体的変更・整理をまとめた文書として、財務省が2026年2月3日付で公布した 決定216/QĐ-BTCがあります。
この3つの文書は単に法令番号が並ぶだけでなく、日系企業・実務担当者の税務手続きを実際に左右する実務運用上の主要な整理ポイント を含んでいます。本稿では、これら3つの文書の関係性・要点・実務への影響を分かりやすく、体系的に解説します。
政令373/2025/ND-CPについては以下のリンクで御紹介しております。
政令126/2020/NĐ-CPとは
政令126/2020/NĐ-CPは、ベトナム税務管理法の細則として、税務申告・納税・税務調査・罰則・申告用紙・タイミングなど、税務全般のさまざまな実務要素を細かく規定した基礎的な政令です。
この126政令は、税務制度全般にわたる多くの項目を規定しており、個人所得税や法人税、VAT(付加価値税)、課税期間、申告方法・義務、税務署の権限、税務調査や罰則に関する枠組みなど、広範な分野をカバーしています。ベトナムで税務申告を行う際の基本的なルールとして、現在でも多くの箇所が基盤になっています。
しかし、同政令はその後のビジネス環境の変化や運用上の課題への対応が必要となってきました。特に以下の点で実務者から修正・整理のニーズが高まっていました。
- 納税者や税務当局間での運用解釈の不統一
- 税務申告先や申告周期の曖昧さ
- 新しい税目・最新の法改正との整合性
- 個人所得税における複数所得源への対応
そうした背景のもと、政府は126を改正する必要に迫られました。
政令373/2025/NĐ-CPの概要
政令373/2025/NĐ-CPは、2025年12月31日付でベトナム政府が公布した政令であり、2026年2月14日から施行されます。これは、既存の政令126/2020/NĐ-CPを部分的に修正・補充するためのものです。
何が修正されたのか?
政令373/2025は、主に 税務管理制度の運用面の明確化・実務上の問題点の整理 を意図しており、以下のような実務要素を中心に変更を行っています。
🔹 税務申告に関する具体的要件の整理
(例:申告周期の変更が発生した場合の取り扱いについて、再提出時のペナルティ免除規定の追加)
🔹 課税期間変更に関する申告延期の扱いなどの細かな運用整理
これは126の元規定には明示されておらず、373で補足されました。
🔹 個人所得税(TNCN)や法人税(TNDN)での一部運用解釈の調整
適用される申告先税務署や複数所得源を持つ納税者の申告先など、実務で混乱しやすい点が丁寧に明文化されています。
日系企業の実務への影響
政令373/2025は税率の変更を目的としたものではなく、申告・申請・税務対象となるタイミングや適用基準といった運用ルールの明確化に重きを置いた改正 です。したがって、
✔ 申告先税務署の判断が明確になった
✔ 再提出に関するペナルティ回避ルールが整備された
✔ 個人収入税の複数所得源対応が制度化された
といった各国企業、特に日系企業では実務処理方法の内部ルール修正や社内各部署への周知が必要な点が増えています。
決定216/QĐ-BTCの立ち位置
政令126とその改正である政令373は法規範的なルール変更を伴うものですが、実際の 税務行政手続の運用上の手順・項目の修正・追加・廃止 は別の文書で整理されます。それが、財務省が2026年2月3日付で公布した 決定 216/QĐ-BTCです。
この決定は、「税務管理関連の行政手続の見直しリスト」を公表したものです。
つまり、税務署や納税者が実務上やり取りする具体的な手続き項目が
- 修正されたもの
- 新しく追加されたもの
- 廃止されたもの
として一つの決定文書でまとまっています。
決定216の要点
この決定は、税務分野における行政手続きについて、財務省の管轄範囲で 公式に修正・追加・廃止されたすべての手続きをリスト化 したものです。これは単なる法令引用ではなく、実務担当者が確認すべき手続き一覧 として機能します。
具体的には、以下のような手続き分類を含みます。
✔ 個人所得税(TNCN)の申告・登録・変更手続
✔ 法人所得税(TNDN)の申告・決算手続
✔ VAT(付加価値税)関連手続
✔ 税務登録変更通知
✔ 特別消費税・土地税などの申告関連手続
✔ 廃止された不要手続(例:特定条件下での重複申請など)
実務上重要なのは、手続き番号・名称・必要書類・管轄税務署・期限・根拠法令 といった一覧情報がまとまっている点です。これは実際の納税・申告オペレーションに直結します。
日系企業実務担当者への影響
■ 1. 申告先と申告方法の明確化
政令373の改正により、これまで税務署によって判断が分かれる可能性があった部分が明確化されています。例えば、個人所得税の申告先や申告周期などです。これにより 誤った税務署への申告といったリスクが低減 します。
■ 2. 行政手続きの簡素化
決定216により、税務管理上の不要な手続きが廃止され、必要な手続きだけが整理されました。これによって 社内で管理する手続きリストの整理 や 業務プロセスの見直し が求められます。
■ 3. 納税者の負担軽減
政令373で明文化された再提出時のペナルティ免除規定などは、実務者が安心して申告を行えるような制度面のサポートでもあります。
■ 4. 内部体制の再構築
これらの法令変更に対応するため、日系企業は次のような 社内対応体制の再構築 が必要です。
➡ 税務マニュアルの更新
➡ 税務申告フローの見直し
➡ 関連部署(経理・法務・人事)への周知
➡ 会計・税務システムの設定変更
まとめ
今回の改正は、単発の法令変更ではなく、政令126を基礎とした税務制度の再整理と、その実務への反映という流れで理解することが重要です。
まず、政令126/2020/NĐ-CP はベトナム税務管理法の実施細則として、税務申告や納税管理の基本ルールを定める土台となる政令です。これを一部改正・補足したのが 政令373/2025/NĐ-CP であり、申告方法や適用基準など、実務上の解釈が分かれやすかった点を明確化しました。そして、その改正内容を行政手続レベルで整理したのが 決定216/QĐ-BTC です。ここでは、修正・追加・廃止された税務手続が一覧として公表されています。
つまり、126が基礎ルール、373がその改正、216が実務手続の整理という関係です。
日系企業にとっては、税率変更のような大きな制度転換ではないものの、申告フローや社内管理体制の見直しにつながる実務上の重要な変更といえます。2026年2月14日以降は新しい手続体系が適用されるため、経理・税務担当者は自社の申告実務が最新ルールに沿っているかを確認しておくことが求められます。
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