ベトナム日本人駐在員に掛かる社会保険?所得税額は?

Social insurance and pit

– ベトナムの日本人駐在員 現地給料について-
社会保険料、所得税額など

ベトナムで働く日本人は、主に日本から赴任する駐在員と、現地で採用される現地採用者が大半で、他には、日本から現地の日系企業へ就業体験(インターンシップ)を目的に短期間就業する日本人もいます。今回はそんなベトナムで働く日本人の中で、現地駐在員に対して支払われる現地給料にスポットを当てて、社会保険料、所得税額など詳しくご紹介したいと思います。

一言で「日本人駐在員」といっても、現地法人の法定代表者、現地駐在員事務所の事務所長などの現地拠点の経営・運営に携わる日本人から、営業部長・営業部長・品質部長など部門を統括する管理者、そして専門業務に特化して就労する技術者やバックオフィスのスタッフなど、様々な役職・職種を持つ人々が働いており、このような役職や職種、そして会社の規模や方針によっても、現地駐在員に支給されるレベルも様々です。

ここでは、現地法人の法定代表者に支払う(一般的な)現地給料をベースに話を進めていきます。

ベトナムへ赴任する駐在員の現地給料は、一般的には 2000 – 3000USD 程度です。

実際には日本側でも給与を貰いますし、単身赴任であればベトナムでそれほどお金を使うこともないでしょうから、現地では現地勤務手当程度に考えて支給している企業もあります。

※ 駐在員事務所の事務所長に関しては、現地滞在183日以内の非居住者であれば、個人所得税の免税申請が可能です。

日本人駐在員の給料3000USD、住居手当1200USDと想定した場合:

※ ベトナムでは日本人駐在員が住むアパートは、現地法人がオーナーと賃貸契約を結び、
家賃は 数ヶ月分- 1年分を一括で会社から直接オーナーへ支払ってもらうのが一般的ですが、

ここでは分かりやすくご理解頂くために、(非常に稀なケースですが)駐在員へ毎月の住居手当として現金支給した場合の個人所得税について考えたいと思います。
(※ 前者の場合の個人所得税計算方法は、後ほどご説明いたします)

1. 現地給料 3000USD
2. 住居手当 1200USD

金銭給与 合計 4200 USD

この場合、社会保険料、個人所得税はいくらになるのでしょうか?

※ 以下、2019年5月時点のレート
(外国人とベトナム人の保険料率
は同じではありません)

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ベトナムの社会保険料算定基礎額は上限およそ1400USD(2780万ドン)ですので、
この場合は、4200USDの金銭給料があったしても、上限の1400USDが適用され、それ以上は保険料が掛かりません。

保険料を算出した後は、個人所得税の課税所得を計算していきます。

① 4200 USD – 112USD(3つの社会保険料 個人負担額計)= 4088USD
② 4088 USD – 450USD  (これは誰もが一律で与えられる基本控除額)= 3638 USD(←課税所得)

 ※ もし現地に扶養家族(子供や高齢の親)がいらっしゃれば、
基礎控除にプラスして、扶養家族1名に対して180USDずつ控除されます。

③ 課税所得 3638 USDに対して、単に所得税率が掛けられるわけではなく、ベトナムは累進課税となります(※ 今回は計算式は割愛いたします)。

今回のケースでは、所得税率 35%が課税され、以下の所得税額 (839USD) となります。

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まとめますと、金銭給料4200 USDに対して、

・社会保険(会社負担): 245 USD
・社会保険(個人負担): 112 USD
・個人所得税 : 839 USD  となります。

給料や住居手当に対して、こんなにも社会保険料や所得税が掛かって来ることになります。

駐在員の場合は、個人所得税も結局は会社が負担されるのが一般的ですので、結局は全て経費に乗ってくるのです。

※ ちなみに外国人就労者の社会保険加入は、2017年末までは任意でしたが、2018年1月から強制となりましたので、日本人駐在員の方々も必ず加入しないといけません。

ただし、退職年金・遺族給付については、2022年からの強制加入となりますが、本ページでは保険料の計算に加算しております。

今回はアパートの家賃を家賃手当として、駐在員の金銭給与に含めてみましたが、先にも述べました通り、現地法人(現地駐在員事務所)がオーナーと契約を結び直接支払いをするのが一般的です(現物支給)

その場合もアパートの家賃は、住居手当として金銭給与を支給するのと同様に、「日本人駐在員の所得」として見なされ、課税所得に含まれます。

ただし、その場合、課税所得に加算される金額は(家賃を除く)総所得の15%までに制限され、超過分に関しては給与所得計算から除外されますので、

今回の場合だと、3000USD * 15%= 450 USD 

1200USDのアパートを賃貸している場合、450USDのみ課税所得として見なされます。ですので、会社が直接オーナーへ支払いを行い、日本人駐在員へ現物支給する方が税負担額は少なくなるのです。

ベトナム社会保険の加入が免除される条件

ベトナムで労働許可証を取得し、現地の法人や駐在員事務所などと労働契約を締結した上で、
現地で報酬を得る場合は、ベトナム強制社会保険へ加入しなければなりませんが、

☆ 以下の条件に当てはまる場合、ベトナム社会保険の加入が免除されます。

関連法令: 政府議定 143/2018/NĐ-CP (第2条の項目2)

1. 企業内の人事異動によって就労する外国人労働者

2. 定年を迎えた満60歳以上(男性)と満55歳以上(女性)の外国人労働者

※ 条件1の「企業内の人事異動によって就労する外国人労働者」については、 政府議定11/2016/ND-CP 号にて、以下のように定義されています。

Người lao động nước ngoài di chuyển trong nội bộ doanh nghiệp là nhà quản lý, giám đốc điều hành, chuyên gia và lao động kỹ thuật của một doanh nghiệp nước ngoài đã thành lập hiện diện thương mại trên lãnh thổ Việt Nam, di chuyển tạm thời trong nội bộ doanh nghiệp sang hiện diện thương mại trên lãnh thổ Việt Nam và đã được doanh nghiệp nước ngoài tuyển dụng trước đó ít nhất 12 tháng.

和訳: 「企業内の人事異動(外国人)労働者とは、ベトナム現地拠点を設立した外国企業の管理者、経営責任者、専門家、技術者として当該企業に 12 ヶ月以上前から採用され、企業内の異動としてベトナム現地拠点に一時的に出向する者をいう」

ここで設けられている12ヶ月という期間は、ベトナムへ出向する駐在員がベトナム進出のためだけに採用された駐在員か否かを判断する指標のようです。

この定義通りに考えると、ベトナム進出のために、新たに採用された駐在員など、たとえ日本採用であっても、企業内の人事異動で赴任したことにならず、免除対象外となります。

また本政令では、このような取決めがあるものの、実際の運用は、各地域の行政機関窓口に委ねられているため、新卒から何十年も日本で働いていた後に赴任した方でも、労働許可証を取得していることを理由に行政から未納付を指摘されたり、既に別の国で駐在している駐在員が日本へ帰国せずにそのままベトナムへ出向した場合に人事異動者と見なされず、免除が認められないなどの事例も発生していますので、ご留意ください。

本ページで最もお伝えしたかったこと

本ページでは、日本人駐在員の給料所得に対して、社会保険料や個人所得税をご説明させて頂きましたが、当社が最もお伝えしたかったこと、それはベトナムで就労するにあたっては、日本人駐在員のこれらの経費が大きな負担 となることです。

今回はアパートの家賃のみ考慮しましたが、アパート以外、日本人駐在員が現地で就労するための経費: (規定が無い場合の)帰国のための往復航空券や帯同する家族の往復航空券、レジデンスカードの申請費用なども給与所得と見なされ課税対象となります。

日本人駐在員に利用するこれらの経費は決して少額ではないにも関わらず、さらに課税されること。

課税レートも決して低いとは言えず、実際に支給する金銭給料に対する所得税だけでも負担なのに、さらに大きな負担が増えることになります。

ベトナムに進出した日本企業の中で、こういった日本人駐在員の経費が想定以上にかさんでしまい、地事業の経営を圧迫し、撤退や縮小を余儀なくされる日本企業 も決して少なくはありません。

一般的に、ベトナムに赴任した後の駐在員の給料は、日本にいたころの2.5倍程度になるとも言われています。

現地に進出してからこのようなリスクに真正面から直面する前に、

日本人駐在員に対して、現地ではどのような経費がかかって来るのか、どれぐらい課税されるのかを、進出前の事業計画の中でしっかり組み立てていくことがとても大切です。

またこちらのページでは、ベトナム進出に関わる「ベトナム法人の設立資本金について」について、詳しくご説明しております。

本ページと合わせてご覧頂けますと幸いです。

当社では、事業計画作成のお手伝いやお客様にあった現地経費のシミレーションも可能です。

当社へのお問い合わせは、以下のお問い合わせフォームやメール、お電話などで承っております。

ぜひ、お気軽にご相談くださいませ。



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