はじめに
ベトナム財務省は、2026年9月14日付で通達136/2026/TT-BTCを公布しました。
この通達は、特別消費税(SCT)に関する通達158/2025/TT-BTCの規定を改正・補足するもので、輸出を目的として販売・委託された商品について、必要な書類や国内販売時の税務上の取り扱いを定めています。
本記事では、特別消費税の改正全体ではなく、今回変更された輸出関連書類の要件と、企業が確認すべき実務上のポイントを解説します。
なお、ベトナムの特別消費税の改正内容や対象品目などの概要については、以下の記事をご覧ください。
関連記事:ベトナム特別消費税(SCT)改正の実務対応(政令360/通達158)
通達136/2026/TT-BTCとは?
通達136/2026/TT-BTCは、通達158/2025/TT-BTC第3条第2項を改正・補足する通達です。
主な対象は、組織・個人が製造または加工した特別消費税の対象商品を、他の事業者などに販売または輸出委託し、国外へ輸出する場合です。
今回の改正では、輸出を証明するために備える書類や、契約を清算する際に記載すべき情報が明確化されています。
| 項目 | 内容 |
| 通達番号 | 136/2026/TT-BTC |
| 公布日 | 2026年9月14日 |
| 改正対象 | 通達158/2025/TT-BTC第3条第2項 |
| 主な対象 | 輸出目的で販売・輸出委託された商品 |
| 施行日 | 2026年9月15日 |
輸出時に必要となる書類
輸出目的で商品を販売または輸出委託する場合、企業は以下の書類を備える必要があります。
必要書類の一覧
| 書類 | 確認する内容 |
| 輸出用商品の売買契約書 | 商品を輸出するための売買契約 |
| 輸出委託契約書 | 輸出を他の組織・個人に委託する場合 |
| 販売請求書 | 商品の販売に関する請求書 |
| 輸出委託に伴う引渡書類 | 輸出委託に関する商品の引渡しを示す書類 |
| 契約清算議事録 | 契約の全部または一部を清算する場合 |
売買契約書と輸出委託契約書は、取引形態に応じて準備します。すべての取引で両方の契約書が必要になるという意味ではありません。
契約清算議事録に記載する情報
輸出用商品の売買契約または輸出委託契約を全部または一部清算する場合、契約清算議事録を作成する必要があります。
この議事録には、実際に輸出された商品や決済に関する情報を記載します。
記載が求められる主な項目
| 分類 | 記載内容 |
| 商品情報 | 商品名、数量、種類、品目、販売価格 |
| 決済情報 | 決済方法、金額 |
| 決済証憑 | 海外購入者からの非現金決済証憑の番号・日付 |
| 取引関係 | 製造者と輸出者・輸出受託者間の非現金決済証憑の番号・日付 |
| 輸出契約 | 輸出契約の番号・日付 |
| 通関情報 | 輸出通関申告書の番号・日付 |
ここで注意したいのは、契約清算議事録に単に「商品を輸出した」と記載するだけではなく、商品情報、決済情報、契約情報、通関情報などを具体的に整理する必要がある点です。
非現金決済証憑の取り扱い
通達136/2026/TT-BTCでは、非現金決済証憑が発生する時点について、契約書または付属契約書の規定に従うとしています。
また、非現金決済証憑の定義については、付加価値税(VAT)に関する法令の規定が適用されます。
そのため、企業は輸出取引の契約内容だけでなく、決済条件やVAT関連の書類要件も確認する必要があります。
特に、以下の内容を取引開始時点で整理しておくと、契約清算時の書類作成を進めやすくなります。
- 決済方法と決済時期
- 決済を行う当事者
- 非現金決済証憑の保管方法
- 輸出者と製造者間の支払い記録
輸出されなかった商品を国内販売する場合
今回の改正では、輸出目的で購入または輸出委託された商品が、実際には輸出されず、ベトナム国内で販売された場合の取り扱いも示されています。
この場合、商品を保有する組織・個人は、国内で販売した時点で、その商品にかかる特別消費税を申告・納付する必要があります。
取引ごとの取り扱い
| 商品の状況 | 特別消費税の取り扱い |
| 輸出目的で販売・委託され、実際に国外へ輸出された商品 | 通達等に定められた輸出関連の条件・書類を確認 |
| 輸出目的で購入・委託されたが、輸出されず国内販売された商品 | 国内販売時に特別消費税を申告・納付 |
| 契約を全部または一部清算する場合 | 規定された情報を記載した契約清算議事録を準備 |
輸出を予定していた商品であっても、実際の取引が国内販売となった場合は、輸出予定だけを理由に国内販売時の税務処理を省略することはできません。
企業が確認すべき実務上のポイント
今回の改正に対応するため、輸出関連業務を行う企業は、契約・書類・商品の流れを確認する必要があります。
① 契約書の内容を確認する
輸出用商品の売買契約書や輸出委託契約書に、商品の内容、輸出先、決済方法などが適切に記載されているか確認します。
② 書類を取引ごとに整理する
販売請求書、引渡書類、輸出契約書、通関申告書、決済証憑などを、取引単位で保管します。
③ 契約清算時の情報を確認する
契約の全部または一部を清算する場合は、契約清算議事録に必要な情報が記載されているか確認します。
④ 輸出できなかった場合の処理を確認する
輸出予定の商品が国内販売に切り替わった場合は、販売時点での特別消費税の申告・納付について、社内の経理担当者や税務専門家と確認します。
まとめ
通達136/2026/TT-BTCでは、輸出目的で販売または輸出委託される商品について、必要書類や契約清算議事録の記載内容が定められています。
また、輸出されずに国内販売された商品については、国内販売時の特別消費税の申告・納付が必要となります。
ベトナムで輸出関連取引を行う企業は、契約書、販売・引渡書類、通関書類、決済証憑を整理するとともに、輸出できなかった場合の税務処理もあらかじめ確認しておくことが求められます。
※本記事は、通達136/2026/TT-BTCの規定をもとに概要を整理したものです。個別の取引における税務処理については、契約内容や関連法令を確認してください。
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