ベトナム進出サポーターズを運営しています(株)MEIKEI 代表取締役の谷口です。本項は、私が日々感じるベトナムに関連する情報やニュースなどについて綴るブログページです。
以前からベトナム投資を検討されている企業様から、当社へご相談のお問い合わせ頂いております。その中で最近ちょっとした変化を感じるようになりました。
それはお問い合わせ案件の特徴についてなんですが、現地中国に進出している企業様が、中国拠点を撤退或いは縮小をし、ベトナム(または東南アジア)へ進出したいという、チャイナプラスワンの拠点設立のご相談が増えてきたことです。
チャイナプラスワンの新拠点設立のきっかけ
中国に既に拠点を持っている企業様がベトナム(東南アジア)へ次なる拠点を設立される理由は、
– 中国の人件費が上昇してきたため、まだ賃金の安いベトナム等へシフトしたい。
– 海外事業が好調であり資金的にも余裕のあるうちに海外拠点を増やしたい。
– 顧客が多くベトナムに進出したため、現地で引き合いがある。
– ベトナム市場へ販売展開するため現地生産を実現したい。
等々、各企業様毎に様々なご事情やご意向がありますが、 ここ数年で特に顕著に表れていると感じるのが、2018年と2019年の「米中貿易戦争の影響」によるベトナムへの移転、昨年2020年から現在においては「コロナ等の感染症リスクの回避」など、外的要因によって中国でのビジネスが難しくなってきた、あるいは難しくなる前に移転したいと言った理由です。
このような日本企業の個々の事情ではない理由、日本企業がどうすることもできない外的要因(国際的な問題)をきっかけに、チャイナプラスワン→ベトナムを検討される企業様が増えて来ているように感じます。
反外国制裁法はチャイナプラスワン→ベトナムの追い風か?
その中で、先月6月10日に中国で新たな法令が施行されました。
日本のメディアではあまり大々的に報道していない印象ですが、わたし個人的には、この法律が中国に投資をする日本企業の障壁となり、ここ数年の「米中貿易戦争」、「感染症リスクの回避」に続いて、日本企業によるチャイナプラスワン→ベトナム進出の活動をさらに加速させる外的要因になるのではないかと見ています。
その法令とは、コロナ禍で強まる外国からの制裁に対する中国の対抗措置を定めた法律「反外国制裁法」です。外国諸国が国際法および国際関係の基本的な規範に違反し、様々な口実やその国の法律に基づき、中国に対して抑止・抑圧をし、中国公民および組織に差別的な制限措置を講じる、或いは中国の内政に干渉する場合において、中国は相応の対抗措置を取る権利を有すると定めた法律ですが、この対象となる主体に、中国が警戒する上述の行為に関与している個人および組織と定められています。
組織つまり、国内外の法人も対象であり、対象主体の本人や関連者へのビザ発給拒否、入国拒否、ビザの取り消しもしくは国外追放、中国内の動産、不動産およびその他各種の財産の差し押さえ、押収、凍結などの措置が行われる可能性があります。
実際にこの反外国制裁法が、実務的なレベルでどのように実施されていくのか、現地に進出中の日本企業にどのような影響をもたらすのかによって、日本企業のチャイナプラスワン検討の動きも変わってきますが、この法律をきっかけに東南アジアへの拠点シフトを考える日本企業も少なからず出てくるのではないでしょうか。
反外国制裁法が元はといえば欧米の制裁に対抗することが目的であることから、欧米諸国と深い関わりを持つ現地の日本企業なども回り回って制裁対象となる可能性も否定できません。
弊社もこの反外国制裁法による中国進出中の日本企業の動向は注視しつつ、チャイナプラスワンの新拠点として「ベトナム」を選択される企業様のご相談には、スピーディーに対応していきたいと考えております。