ベトナムの自然災害防止基金について

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- ベトナム自然災害防止基金について-
定義、拠出者、拠出金額、免除条件、罰則金など

ベトナムに現地法人を持つ企業様は、「自然災害防止基金」という基金をご存知でしょうか。自然災害防止基金は、2014年に施行された法律 : 33/2013/QH13号 - 災害防止法(Luật phòng, chống thiên tai)によって定めらている基金です。

自然災害防止基金の具体的な取り扱いについては、政令 94/2014/ND-CP 及び 政令 83/2019/ND-CP(2019年施行)にて、違反に対する罰則金は、政令104/2017/ND-CP(2017年施行)によって規定され、年々、同基金に対する法令が整備・見直しが行われています。

自然災害防止基金は、実際の徴収は、各地域の行政に委ねられており、徴収の徹底度合いやタイミングは統一されていないことから、(行政から支払い催促がないなどの理由から)あまり周知されていない基金かもしれません。

2020年3月の国会常設委員会においても提議され、且つ(法令で定める)支払い期日が近いということもあり、現地進出企業に対して自然災害防止基金への支払いを求める公文書が関連当局から発行される地域も多く、当社にも「これはどのような基金なのか?」「負担の義務はあるのか?」というお問い合わせを頂くことも増えました。

急に支払い催促の公文書が届いて困惑されている企業様もいらっしゃると思いますが、法令上は、現地企業(外資内資共に)およびそのベトナム人従業員は負担する義務があることは確かです。

本ページでは、ベトナムの自然災害防止基金(定義、拠出金額、免除条件、留意点)ついて解説させていただきます。
負担の免除対象となる企業様もあるかと思いますので、ぜひご一読頂けますと幸いです。

ベトナム自然災害防止基金とは?

自然災害防止基金の定義

ベトナムで発生する自然災害の予防および対策・支援活動を行うことを目的に設立された基金であり、集まった資金は、被災者への緊急物資の提供や家屋/病院/学校の修繕等に利用されます。
(法律: 33/2013/QH13 第9条)

関連法令

・法律:  災害防止法33/2013/QH13)
・政令:  自然災害防止および管理基金の設立、管理に関する政令(94/2014/ND-CP)
・政令:  政令 94/2014/ND-CPを修正・補足する政令(83/2019/ND-CP)
・政令:  自然災害防止分野における違反・制裁に関する政令(104/2017/ND-CP)

災害防止法で定義する自然災害とは? 

人・モノ・環境・生活条件・社会経済活動に影響をもたらす可能性のある異常な自然現象であり、''暴風雨、熱帯低気圧(台風)、サイクロン、雷、大雨、洪水、鉄砲水、洪水や海流による地滑り・地盤沈下、海面水位の上昇、塩害、猛暑、干ばつ、寒波、霧氷、地震、津波、その他の自然災害'' を指します。 (法律: 33/2013/QH13 第3条)

自然災害防止基金の管理行政 

各地方(省レベル)で設立され、省級人民委員会により管理されます。
予算を持たない国の財政基金であり、当年の積立金は翌年に繰越されます。
(:政令 83/2019/ND-CP 第1条の項目1)

自然災害防止基金への拠出者

・法人負担: ベトナムで活動する全ての現地法人(外資内資企業問わず)
・個人負担: それらの法人に勤める(18歳以上の)ベトナム人労働者
(法律: 33/2013/QH13 第10条)

自然災害防止基金への拠出金額

「企業負担」と「個人負担」からの拠出となります。 計算方法は以下の通りです。

企業負担(政令: 94/2014/ND-CP 第5条の項目1)

ベトナム現地法人の年次財務諸表に基づく資産価格の0.02%分を年間で納める必要があります。
ただし、最低・最高拠出金額の範囲は定められており、最低50万ドン(約2500円)、最高1億ドン(約50万円)となります。
(換算レート: 1VND=約0.005円)
また企業が負担する自然災害防止基金は、(同政令第5条の項目1の中で)その法人の経費として経費参入することも認められています。

個人負担(政令:  94/2014/ND-CP 第5条の項目2)

個人負担は、満18歳以上〜定年年齢までの全ての労働者が対象となります。公務員や国営企業の管理者や企業幹部は、年間1人当たり(社会保険や税額を差し引いた)賃金に対して日割額を納め、一般企業の従業員は、年間1人当たり(所在地域の)最低賃金日割り額を納めなければなりません。

自然災害防止基金の支払い期日

「個人負担分」の支払い期日は、5月30日まで(一括納付)となります。

「企業負担分」は、 支払総額の(少なくとも)50%を5月30日までに、残額を同年10月30日までに納付しなければなりません。

(政令:  94/2014/ND-CP 第8条の項目4)

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法人負担分における自然災害防止基金の負担免除

(政令:  94/2014/ND-CP 第6条の項目2

資金を拠出する法人自体が、自然災害の被害を受けたことにより、総資産の0.02%以上(に値する額)の資産・設備を調達、修繕した場合、また5日間以上の事業停止を余儀なくされた場合は、支払いが免除されます。

また(同項には)「法人税の免税または減税を受けている法人に関しては、自然災害防止基金への拠出を減額、または一時見送りを検討するがある」との記載があるものの、具体的な取り扱いについては定められていません。

ただし、これまでも赤字経営中の日系企業が自然災害防止基金の免除相談を所轄行政へ行ったところ、減免申請に対する正式な公文書の提出&年次財務諸表の提示を求められた事例もありますので、どの地域においても原則は、会社として公文書の提出および年次財務諸表の提示で検討して貰えると考えます。

*自然災害防止基金の「個人負担」に対する免除項目もあり、年間半年以上失業していた労働者、過疎地域や貧困層、自然災害、感染症の被災者などは免除対象とされており、同じく第6条の項目1の中で明記しています。

自然災害防止基金未払いに対する罰則金

(政令:  104/2017/ND-CP 第11条

企業負担分、個人負担分共に、年間支払い額と同額、または1.5倍、2倍まで3段階の罰則が設けられています。*ただし、罰則金の下限上限は、最低5万ドン(250円)- 最高5,000万ドン(25万円)。
(換算レート: 1VND=約0.005円)

罰則1.5倍になる場合:  *同政令 第11条 項目2のa),b)に明記

- 個人負担分 :  期日の5月30日を過ぎた後、12月31日までに支払った場合
- 企業負担分 :  5月30日 - 10月30日までに初回を支払い、10月30日 - 12月31日までに残額を支払った場合

罰則2倍になる場合: *同政令 第12条 項目3のa),b)に明記

- 個人負担分 :  12月31日までに支払わなかった場合
- 企業負担分 :  10月30日までに初回の支払いがされず、12月31日までに残額も支払わなかった場合


以上、ベトナムの自然災害防止基金における拠出者、拠出金額、免除条件、罰則金などについてご解説させて頂きました。

自社が免除申請の対象となり得る可能性がある場合は、公文書などを用いて、一度所轄行政へご相談してみてはいかがでしょうか。

弊社でもこのような日々の現地法人運営に関しまして、サポートさせて頂くことも可能ですので、ご質問などございましたら、いつでもお問い合わせ下さいませ。



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