- ベトナム法人税について-
法人税率、優遇税制、法人税計算方法、損金参入の留意点など
ベトナムに投資・進出をお考えの日本企業様にとって、最も気になるのは ベトナムの法人税だと思います。
ベトナムの法人税の優遇制度に魅力を感じベトナムへ進出される企業様もいらっしいますし、ベトナム法人を運営していく上で、会社として必ず納税が必要な税であり、何%課税されるかによって、事業が軌道にのって来た後にどれだけ利益が残せるかにも関わって来ます。
こちらのページでは、ベトナムの法人税や優遇税制のほか、法人税の算出方法、損金参入における留意点について分かりやすくご説明したいと思います。
法人税率と優遇税制度
ベトナムの標準 法人税率は、20%(※2016年1月1日〜)であり、
日本に比べても非常に低い税率となっています。
ベトナムの法人税は、これまで段階的な引き下げが行われてきました。
国が積極的に外資誘致政策を取ってきたこともあり、
2018年以前は28%、2009年〜25%、2014年〜22%、そして2016年〜20%、
そして今後も、少額投資家向けにさらなる法人税率の引き下げが検討されています。
さらに事業内容 や 進出地域 によって、減税などの優遇が受けれる場合があります。
2019年現在の優遇税制度の内容と税率、適用期間は以下の内容です。
例えば、日本のIT企業(ソフトウェア/システム開発企業)様が、ベトナムに子会社(グループ会社)を新規設立(進出)する場合、IT業界は税優遇の対象業界ですので、法人税率は 10%、その優遇を 15年間も受ける ことができます。
課税所得が発生してからの最初の 4年間は免税期間 ですので、その間は 無税、免税終了後も、9年間は50%減税(実質5%課税)、その後 2年間も10%課税(優遇)が続いて、16年目から優遇無しの通常税率へと切り替わります。
ベトナムのIT業界への税優遇は特に有名で、現在でも日本や外資のIT企業が多く進出していますが、進出企業の大半を占める 製造業界 であっても、進出先の地域(貧困地域、経済特区など)によっては、同様の税優遇 を受けることができます。
※1: 優遇適用期間は、課税所得(黒字)が発生した課税対象期間から起算しますが、3期連続で欠損金(赤字)が続いている場合、4年目以降から必然的に優遇適用期間を開始します。
ただし、創業後3期連続赤字 で計上し、4年目以降から税優遇を受ける申告を受けていたとしても、税務調査にて、一定期間内の申告内容の問題を指摘され、損金算入していた経費が認められずに、赤字が一転黒字となった結果、優遇開始時期が早まったという法人もあるので、注意が必要です。
法人税の計算方法と損金参入について
計算式
◎ 法人税=課税所得(*1)× 法人税率(前述の法人税率のいずれかを適用します)
*1: 課税所得とは、総所得(*2)から、非課税所得+繰越欠損金を差し引いたもの
*2: 総所得とは、利益(売上+その他の所得)から、【損金】を差し引いたもの
損金として計上していた経費が(原則)5年に一度行われる税務調査にて指摘を受け、多額の経費に対して経費計上が認められず、赤字申告していたものが黒字に転換してしまった企業様もいらっしゃいます。
経費の損金参入にもルールがありますので、以下ご参照頂きながらご留意下さい。
【損金算入要件】
- 付加価値税(VAT)の公式インボイス(いわゆるレッドインボイス)があること
- 2,000万VND以上の取引について、銀行送金などの証明書があること(銀行送金必須、キャッシュ支払い不可)
- 定款上の登録事業に関連したコスト(生産活動、営業活動など)に対しての支払いであること
また、以下のような場合において、損金算入が認められない場合があります。
- 公式インボイスの無い費用
- 就労ビザを持たない出張者の出張関連費用(現地でのホテル宿泊費用、レンタカー費など)
- 就業規則や労働契約書に記載されていない給与や手当
- 行政処分によって課された罰則金など
- 行政などから求めれ支払った寄付金
◎留意点: 繰越決算金の期間は最長5年間となります。法人税の欠損金繰戻還付も認められません。
以上、ベトナムの法人税と法人税率、優遇税制、
法人税の計算方法と損金参入における留意点について ご説明させて頂きました。
ベトナムへ進出をお考えの日本企業様、進出先、進出形態、進出にかかる費用のシュミレーションなどを含め、ベトナムでの法人設立と運営に関しまして、どのようなことでも構いませんので、ぜひ当社へご相談頂ければと思います。