ベトナムVAT改正(政令144/2026/NĐ-CP)VAT控除計算方法と取引ルールの改正

Yentu Ruins

2026年5月5日、ベトナム政府は付加価値税(VAT)に関する政令第181/2025/NĐ-CP号の一部内容を改正・補足する政令第144号を公布しました。

本政令は 2026年6月20日より正式施行 され、企業のVAT申告および仕入VAT控除実務に直接的な影響を与える改正と位置付けられています。

仕入VAT控除割合の計算方法の明確化

控除割合の算定式

控除割合 = VAT課税売上高 ÷ 総売上高 × 100%

 

改正の重要ポイント
仕入VAT控除割合を算定する際、VAT申告・納付の対象外となる売上高も、控除割合計算に含めることが明確化されました。

 

【売上種類】

① VAT課税売上高:VATインボイス発行+VAT申告あり
  (例:国内販売、製造品販売、サービス提供、通常の商業取引などVAT課税対象となる売上)

② VAT申告不要売上高:売上はあるがVAT申告対象外
  (例:国外サービス提供、海外向け役務提供、外国企業へのサービスでベトナムにおいてVAT申告・納付義務が発生しない取引)

③ VAT非課税売上高:法律上VATそのものが課されない取引
  (例:生命保険サービス、医療サービス、教育サービス、法律でVAT非課税と定められている取引)

 

計算例

・総売上高:1,500,000,000 VND
・①VAT課税売上高:900,000,000 VND
・②VAT申告不要売上高:300,000,000 VND
・③VAT非課税売上高:300,000,000 VND
・仕入VAT総額:75,000,000 VND

改正前(申告不要売上を含めない)
控除割合:60%
控除可能VAT:45,000,000 VND

改正後(申告不要売上を含める)
控除割合:80%
控除可能VAT:60,000,000 VND

⇒ 控除可能VATが 15,000,000 VND増加

後払い・分割払い取引における非現金支払証憑の新ルール

(5,000,000 VND以上の取引)

支払期限前
銀行振込証憑が未取得であっても、仕入VATの暫定控除が可能。

支払期限到来時点で証憑がない場合
既に控除したVAT額を減額調整する必要があります。

後日証憑を取得した場合
取得した課税期間において再度控除申告が可能。

VAT非課税となる保険サービス範囲の拡大

一部の保険サービスが、新たにVAT非課税対象として追加されました。

企業は、自社が提供するサービス内容を再確認し、新規定に基づく適切な税務処理を行う必要があります。

参考法令

・政令第144/2026/NĐ-CP号
・政令第181/2025/NĐ-CP号

企業として留意すべき点

・課税取引と非課税取引を併営している場合、仕入VAT控除割合(按分計算)の算定方法を改正規定に合わせて見直すこと。

・後払い契約および分割払い契約については、契約条件および支払期限を再確認し、銀行振込による期限内決済を徹底すること。

・保険サービス、金融関連サービス等について、VAT非課税対象に該当するか改めて整理・確認すること。

・電子インボイスの発行タイミングが税務上の課税時点と一致しているか確認すること。

・仕入VAT控除の要件(特に銀行振込など非現金決済証憑)の充足状況を再点検すること。

・分割請求・長期契約案件におけるVAT計上時期が適正であるか見直すこと。

 

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