ベトナム進出のリスクとは?

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- ベトナム進出のリスクについてご紹介致します-
・ベトナム投資における2つの税務リスクについて
・そのほか4つのリスクと特徴について

海外進出をするということは、日本を出て、日本の法律が反映されない異国の地で事業展開をするということです。そこには進出企業の弊害になるような様々なリスクが存在します。本ページでは、ベトナム進出におけるリスクの中で、最も注意を払うべき「税務リスク」を序盤で詳しくご紹介し、税務リスク以外で考えられるリスクについて、終盤でご説明したいと思います。

- 移転価格税制
- 外国契約者税

ベトナムの企業で働いたこともある方は、上記の言葉を聞いたことがあるかもしれません。「移転価格税制」と「外国契約者税」は、日本企業が現地で直面する税制上の障壁であり、この税制を遵守できていないという理由から、罰則や最悪の場合、追徴課税を課せられることもあり、ベトナム進出の税務リスクとして、よく上位に挙がる税制です。

移転価格税制

ベトナム進出における一つ目のリスクは、移転価格税制です。移転価格税制とは、海外にある関連会社(子会社やグループ会社)と取引する際、独立企業(資本関係のない非グループ会社)間で取引される価格(**市場価格)を基準とし、その市場価格と異なる価格で取引が行わた場合、市場価格にて取引額を算出して、本来の課税所得額を明らかにする税制です。
市場価格とかけ離れた価格にて取引する、且つそれによって利益を相手側に移すなどの行為を防ぐことを目的としています。ベトナムでもこの移転価格への厳しい税制が定められており、国外の親会社・グループ会社と取引を行うベトナム現地法人を税務調査時などに細かくチェックしており、現地に進出している日本企業が多く指摘されていることから、最も注意すべきリスクのひとつと言えるのではないでしょうか。
関連会社と見なす定義として、一定の資本関係があるかどうか、一定の融資を受けているかどうか、一定の取引があるかどうかなど細かく規定されており、全ての企業が対象ではありませんが、多くに企業にとって関連している税制と言えます。また移転価格税制について、税務当局から指摘を受けた場合でも、それがすぐ問題となる訳ではなく、取引価格についてある程度弁明できる機会を与えられます。

ベトナムの移転価格税制については、こちらのページ にて詳しくご説明していますので、ご参考にして頂けますと幸いです。

外国契約者税

ベトナム進出における二つ目の税務リスクとして、外国契約者税が考えられます。外国契約者税とは、外国人或いは外国の法人が、ベトナムの個人またはベトナム法人と契約を締結し、ベトナム国内においてサービスの提供(取引)を行った際に得る報酬に対して課せられる税金です。物品を海外から輸入した際に課せられる関税に対して、サービスを輸入した場合に課せられる税金が外国契約者税と考えるとイメージし易いのではないでしょうか。この外国契約者税も、移転価格税制に続いて、日本企業への指摘ポイントとして知られています。

製造業界の企業様など、ベトナムで利用する生産設備を日本や海外から購入し、据付も販売元の企業に委託することは多いと思います。その際、まさに据付作業はサービスの提供とみなされ、課税されます。

納税方法も3つの方法があり、いずれにせよ、サービスを受けたベトナム法人(個人)、またはサービスを提供した外国法人(個人)が自主的に納税しないといけません。知らなかったでは通らないこともありますので、ベトナムへ進出した後、外国からサービスを購入する機会のある企業様は、この外国契約者税をよく理解しご留意頂ければと思います。

ベトナムの外国契約者税については、こちらのページ にて詳しくご説明していますので、ご参考にして頂けますと幸いです。

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以上、ベトナム進出における注意すべき 2つの税務リスクについて、ご紹介させて頂きました。

海外投資のリスクとして現地の税制がよく挙げられますが、
税務リスク以外に 他にも考えられるリスクは多く存在します。

以下、箇条書きにて列挙致します。

ベトナム進出の4つのリスクと特徴

・現地法令のリスク

… 税務、労務、税関、環境など、日々事業運営するにあたって、
当局への各種手続きが煩雑、トラブルも多く、現地事業運営の障壁になることが多い。

・人材のリスク

… 労働力は豊富であるものの、中間管理職が育ちきれていない、
長期勤務・会社への貢献意識も低く、
給料条件の良い職場に
簡単に職を変える、ジョブホッパーも多い。(せっかく育てた人材が辞めてしまう)
副業も許容されているので残業を嫌ったり、また勤務中に副業の業務を行うなど、
企業に勤める社会人としての意識も低い人が多いです。

・インフラのリスク

… 年々インフラの問題は改善されているものの、物流ルートが不十分、電力不足など、
一部の地域では進出企業の事業に影響を与えていることは確かです。

・現地コストのリスク

… 日本より物価や人件費が安い国とは言え、日本以上にコストが掛かることもあります。
例えば、日本人駐在員の所得税(累進課税・最高税率35%)も、給料+ボーナスに加えて、
現地で駐在するためのコスト(アパート代、ビザ申請代、通勤レンタカー代など)も課税対象、
さらに全世界所得のため、日本給料も課税範囲となります。それらを踏まえてると、
ベトナムに赴任する駐在員の給料は、日本にいたころの2.5倍ほどになるのが一般的です。
さらに社員の不正などで必要に以上に経費が嵩むことも多く、実際に膨れ上がる現地コストが
問題でベトナムから事業撤退を余儀なくされる企業も少なくはありません。
そういった意味で、大きなリスクのひとつと言えるのではないでしょうか。


ベトナム現地投資において、どのようなリスクが考えられるのか、何も知らずに進出するよりも事前にリスクを把握することにより、100%回避することは難しいとしても大きなトラブルを避けることはできます。

当社ではベトナムに進出される(または既に進出済みの)企業様に対して、進出後のリスクを極力抑えるべく、先々の事業展開を考えた現地法人経営コンサルティングサービスをご提供しています。

ベトナム現地法人の運営にあたって、業務上のトラブルや事業運営上の問題発生などお困りのこと、また事業再編などのご相談が御座いましたら、ぜひ当社へご相談ください。