【2020年版】ベトナム土地使用権の解説ポイント3選

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– ベトナムの土地使用権って何?-
ベトナム土地使用権の定義、土地使用権とレンタル工場のコスト比較など

ベトナムへ新たに進出を検討する企業様は、「ベトナムの土地使用権」という言葉を耳にされたことがあるかと思います。

ベトナムローカル企業のM&A等を除いて、新規にベトナムへ進出される際の形態として、「土地使用権」をリースされるか、「レンタル工場」を賃貸されるか、いずれかの方法を取ることになります。

当社にも、「ベトナムで土地使用権をリースして自前の工場を建設するか、レンタル工場へ入居するのか迷っている..」という御相談をよくお受けすることもあり、 本項では、ベトナム土地使用権の定義や関連法、土地使用権とレンタル工場との比較について解説させて頂きます。

本項のテーマ】

1. ベトナム土地使用権とは? 
–  ベトナム土地使用権についての法律と運用

2. ベトナム土地使用権の使用期限について 
–  ベトナム土地使用権には使用期限が存在する?
–  ベトナム土地使用権の期間起算日はいつ?
–  ベトナム土地使用権の期限切れ後の対応は?

3. ベトナム土地使用権リースとレンタル工場の比較 
– 15年以上投資する場合は、土地使用権の方が得か?

1. ベトナム土地使用権とは?

社会主義国であるベトナムでは、そもそも「国土である土地」に対する概念が日本とは違います。ベトナムの全ての土地が全国民に帰属し、ベトナム政府がその土地を統一管理しているという考え方から、個人や私営企業が自由に土地を所有すすることは出来ません。個人や私営企業などがベトナムの土地を取得・売買・使用する場合に於いて、土地そのものでは無く、土地使用権(Quyền sử đụng đất)という形態が取られます。同じく社会主義国家である「中国」にも土地使用権が存在しますが、同じような考え方になります。

ベトナム土地使用権についての法律と運用

ベトナム土地使用権ですが、土地使用権の定義や扱い方については、関連の法律が定められています。2013年 土地法(Luật đất đai : 45/2013/QH13)が最も新しい法律であり、それ以外に、政府議定(47/2014/NĐ-CP),各省通達(23/2014/TT-BTNMT)などの下部法令によって、土地使用権に対する細かな運用を取り決められているのです。

土地法(Luật đất đai : 45/2013/QH13)にて定められた内容によると、ベトナム土地使用権は大きく分けて、以下の二つの形式が存在します。

・ 国家からの割当という形式
・ 国家からのリース形式

これらの形式に従い、ベトナム国民やローカル企業、外国人投資家や外資系企業は、土地使用権(=不動産)の売買・取得・使用を行っています。

ベトナムの工業団地へ進出する日本企業と関係してくるのは概ね後者の形式(リース)であり、工業団地開発を行う国内外のディベロッパー(開発業者)がベトナム国家から土地のリースを受け、そのディベロッパーが区画毎に分けた土地を、入居する企業へサブリースする形が取られています。

また、当社にもよくお問い合わせ頂くご質問の中で、「ベトナムで法人設立せずに工業団地の土地使用権をリースすることができるか?」というお問い合わせを頂くことがあります。

2013年 土地法(Luật đất đai : 45/2013/QH13)の第5条においては、外資系企業でも土地使用権を購入・リースを受けることは可能ですが、あくまで外資系企業が直接出資・株式購入・持分取得した企業である必要があり、 ベトナムの企業法に基づいて設立されたベトナム国内企業のことを指します。

国から土地使用権のリースを受け、テナント企業へサブ・リースする工業団地の開発業者(ディベロッパー)も国内法人へ出資し、その国内法人を通じて国からリースを受けているのです。

現地に出資した国内法人を通さずに、日本企業含め、海外企業が直接、国から土地使用権をリースすることは出来ません。

2. ベトナム土地使用権の使用期限について

ベトナム土地使用権には使用期限が存在する?

ベトナム土地使用権には、 土地法(Luật đất đai : 45/2013/QH13)でも明記されている通り、使用出来る期限が存在します。通常は50年という土地使用期限が定められていますが、日越政府間で合意した特別工業団地や特別経済特区においては、(土地使用期間に対するインセンティブとして)70年以上の期間を設定している進出先もあります。

ベトナム土地使用権の期間起算日はいつ?

土地使用権の期間を算定するにあたって留意すべき点として、よく誤った認識をお持ちの企業様も多くいらっしゃいますが、進出企業がその工業団地に進出してから50年間、リースした土地を使用できるという訳では御座いません。

国から直接借受ける工業団地の開発業者(ディベロッパー)がビジネスラインセンスを取得した時点から土地使用期間が起算されるのです。例えば、工業団地開発を開始して20年間経過した工業団地に於いて土地使用権をリースする場合は、残り30年間しか残されていません。工業団地選定の際には、ご留意頂ければと思います。

ベトナム土地使用権の期限切れ後の対応は?

土地使用権の期限があるということは、いずれは期限の満了日を迎える日が来るということです。リース期限満了後も土地使用の必要性や需要があると国が判断する場合、期限延長・継続利用を検討すると土地法で記されていますが、実際には比較的古くから開発を行っている工業団地でも20数年、まだ長期土地使用権の使用期限を迎えた事例がないため、期限切れ後の対応は不明確ではあります。期限切れ時点での状況や法令に応じて、臨機応変に対応していく必要がありそうです。

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3. ベトナム土地使用権リースとレンタル工場の比較

ベトナム土地使用権をリースして自前の工場と建設する場合、またはレンタル工場を賃貸する場合とでは、どちらの進出方法がコストメリットが出るのでしょうか?こちらもよくご質問頂く内容ゆえ、以下にて解説させていただきます。

15年以上投資する場合は、土地使用権の方が得か?

当社はよくお客様にお答えする内容として、「12年-15年」という数字を用いています。実際には、賃貸するレンタル工場の面積やリースする土地使用権の面積、さらには工場建設費の価格等によって前後しますが、両者のコストを比較する指標として、この「15年」という年数にご注目頂ければと思います。


 例えば、5000平米の工場にて生産活動を行う場合 
(*ドル円換算レートは、分かりやすく1ドル=100円としています)

【土地使用権をリースする場合の初期コスト】  : 4.5億円

・土地使用権リース代(インフラ構築費):  
150 USD×10,000平米 = 1,500,000 USD 

・工場建設費 : 3,000,000 USD  
建設費は、平米600USD×(単純に延べ床面積)5000平米で算出しています。
建設業者が日系ゼネコンかローカルゼネコンかによって、価格は大きく前後します。 

1,500,000 USD + 3,000,000 USD = 4,500,000 USD 

◎日本円換算(100円/USD)=4.5億円円


【レンタル工場へ入居する場合の初期コスト】  : 3300万円/ 年間

・レンタル工場賃料 :  
5.5USD/平米 × 5000平米 × 12ヶ月間 = 330,000 USD / 1年間賃料 

◎日本円換算(100円/USD)=3300万円
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4.5億円(土地使用権リース+建設費)÷ 3300万円(レンタル工場 年間賃料)= 13.636363… 

= 13.6 年  



上述の条件に於いては、13年以上、レンタル工場に入居する場合は、土地使用権を購入した方が良いという計算になりますが、上述はあくまで大まかな数字です。

実際には、(上記の一例には含めておりませんが)土地使用権のリースには、平米0.5-1USD程度の年間管理費が掛かりますし、盛り土などで大きな初期費用が掛かる場合もあります。レンタル工場においても、同様に管理費が掛かる場合もあれば、入居時には内装費なども掛かります。

またリース単価が安い工業団地へ進出したり、建設費を下げる場合は、土地使用権リースコストは下げることも出来ますし、企業様の進出状況・投資条件によって、土地使用権とレンタル工場のどちらが得か?と判断する境界年数は、短くもなれば長くもなります。

当社へお任せ頂ければ、お客様のご計画を伺った上で、細かくコストを算出させて頂くことも可能ですが、まずは余裕を見て、大凡15年以上ベトナムへ進出(投資)をする場合は、土地使用権を購入(リース)した方がコストメリットが出るとお考え頂いても良いかと存じます。

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以上、「ベトナム土地使用権の解説ポイント3選」について、ご解説させて頂きました。

当社でもベトナムにおいて土地使用権のリースを検討されている企業様に、工業団地の(無償での)ご紹介やレンタル工場賃貸とのコスト比較(詳細コストの算出)なども、サポートさせて頂いております。 

「ベトナム土地使用権」に関しまして何かお困りのことやご質問など御座いましたら、ぜひ当社へもお気軽にご相談くださいませ。

また本項と合わせて、こちらのページ : ベトナム工業団地選定の重要ポイント15選 、ベトナム土地使用権の相場価格等のページについてもよくご覧頂いています。
皆様のベトナム進出のご参考にして頂けますと幸いです。