ベトナム進出日系企業が抱える課題や問題点

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- ベトナム進出の日本企業が抱える課題、問題点とは? -
管理者層の人材不足、賃金上昇、現地調達、不透明な法規制など

昨今のベトナムでは積極的な外資誘致政策もあり、比較的簡単に且つ好条件で、スムーズにベトナムへ進出することができるようになりましたが、実際には最も苦労するのは進出時ではなく進出後と言われています。

進出直後から現地法人が様々なトラブルや課題に直面し、現地に駐在する日本人駐在員はもちろんのこと、日本側で海外拠点を管理するご担当者の方々も、ひっきりなしに発生する現地の問題に悩まされるていることは決して少なくありません。

今回はベトナム進出後に日系企業が抱える課題やトラブル、問題点について考えてみたいと思います。事前にどのような課題が発生しうるのかを事前に把握するだけで、大きなトラブルを回避することもできます。

ベトナム進出に直面する課題・問題とは?

・資材調達率の低さ
・管理者層の人材不足
・コンプライアンスに対する意識の低さ
・賃金上昇
・不透明な法規制
・生産効率や品質の問題
・行政手続きの煩雑さ



資材調達率の低さ

ベトナムへ進出した日本企業が直面する課題の一つとして、資材調達率の低さがあります。現地でモノづくりをするにしても、原材料はもちろんのこと、資材や備品も現地で揃えることができず、日本から輸出している企業様も多いのではないでしょうか。

日系以外に韓国、中国、台湾など年々多くの企業が進出しており、以前に比べても現地調達の幅がだいぶ広がってきましたが、日本では調達できるものでもベトナムでは想定外に調達できないこともありますので、そういった資材や備品の現地調達が可能かどうか、進出前にも合わせてリサーチされることが大切です。

 

管理者層の人材不足

平均年齢も低く、労働人口が豊富なベトナムですが、拠点全体を任せれるようなマネージメント層の人材は不足しているとも言われています。これも日本企業が抱える課題の一つです。現在の中国では、現地のマネージメント層が育ってきており、優秀な管理者が多いため(また現地人件費増の要因もありますが)以前に比べて、日本人駐在員の人数を減らす企業が多くなってきています。現地マネージャーが優秀なため、日本人駐在員が現地に常駐していなくても現地拠点が上手く回ってきているのです。それに比べてベトナムは、もちろん優秀な管理者層も多いですが、まだ事業が安定していないということもあり、日本人駐在員が管理者として現地拠点全体をマネージメントをしている日本企業がほとんどです。

今はそこが課題の一つではありますが、将来的には、ベトナムも今の中国と同じように日本人駐在員を減らして現地の管理者がマネージメントする環境になるでしょうし、将来を見据えて(今の内から)現地メンバーの中から、ベトナム拠点の統括者を育てようと動いている日本企業も多いです。

 

コンプライアンスに対する意識の低さ

ベトナムへ進出した日本企業が直面する課題の3つ目として、コンプライアンスの問題があります。コンプライアンスへの意識の日本に比べて現地社員のコンプライアンスへの意識は低く、不正をはじめ日本ではコンプライアンス違反となるような問題が多くの日系企業で多発しています。ただ最近では以前に比べて、若い労働者の間でもコンプライアンスへの意識が高まりつつあるという意見もありますし、コンプライアンス遵守を徹底する外資企業などで現地スタッフへの「コンプライアンス研修」など実施する企業も増えて来ています。

 

賃金上昇

ベトナムへ進出した日本企業が直面する課題の4つ目に、賃金上昇の問題があります。ベトナムは全国を4つの地域に分けて、毎年1月1日に最低賃金を改定しています。この時期に現地日系企業各社は、この最低賃金の動向に注目し、昇給などの参考としています。

2011年-2016年頃までは、全国平均で13%-15%前後の高い賃金上昇率が続きましたが、ここ数年は5-7%前後の成長率に落ち着きました。現地の従業員を多数採用して事業を行なっている製造業の企業様などは、急激な賃金上昇が続くことによって利益を圧迫することもあるので決して安易に済ますことができない課題ではあります。

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不透明な法規制

続いで、現地の不透明な法規制も進出企業がよく問題視する課題の一つです。具体的な取扱いが定められないまま、急に施行された法規則が数ヶ月後に停止するなどの事例もあり、進出企業が不明瞭に変化する法規制の対応に追われるなどの影響も出ています。

 

生産効率や品質の問題

次に製造業に言える課題ではありますが、生産効率や品質の問題が課題としてあります。日本の機械や生産システム、品質管理システムをそのまま移管したものの、設備や仕組みが同じでも日本と同じ生産量、品質を維持しながらモノ作りができるとは限りません。

実際に現地で生産を開始してみると、生産性が非常に悪かったり、不良率が高かったりするなどの課題が多いのも現実です。品質が安定するまでの不良品は全てロスですので、進出前の事業計画策定時には長期間のロスも想定しながら、余裕を持って立てることが大切です。

 

行政手続きの煩雑さ

ベトナムへ進出した日本企業が直面する課題の最後に考えられるのが、投資契約局や労働局、税務局や税関など、行政への申請や手続きの煩雑さが言えます。

ベトナムは法律は一本であったとしても、実際の取り扱いは、地方行政に全く違っていたり、担当者によっては取り扱いが違ったりもします。

また行政に提出する資料も非常に多く、その準備や法定代表者の承認にかなりの時間と労力を要します。そういった行政手続きの煩雑さに対して、改善すべき課題と感じている日本企業も少なくはありません。


以上、「ベトナムへ進出した日本企業が抱える課題、問題点」についてご説明させていただきました。

ほかにも、これらのページにて、ベトナム進出のリスクベトナム進出が失敗する4つの事例についてご紹介致しております。ご参考に合わせてご覧いただけますと幸いです。

ベトナム進出や現地法人の運営上、何かお困りのことがございましたら、
ぜひ当社へご相談くださいませ。



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